■予選:8月26日/決勝:8月27日
■開催地:鈴鹿サーキット(三重県)
■予定レース距離:1000km(173周×5.807km)

過酷な一戦に傑出したミシュランの高性能
MOTUL AUTECH GT-R  2位表彰台でシリーズ首位に

SUPER GT全8戦の中で飛び抜けて長い1000kmのレース距離で行われたシリーズ第6戦の鈴鹿1000kmにおいて、ミシュランタイヤ装着車No.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)が2位でフィニッシュ。同車は82kgという重いウェイトハンディを抱えながら、高温下でもハイパフォーマンスを安定的に発揮し続けたミシュランタイヤに支えられて高い競争力を見せ続け、ペナルティによる大幅なポジションダウンも乗り越えて2戦連続となる2位表彰台獲得を果たしました。これにより同車は、ドライバーランキング、チームランキングの双方において首位に浮上しました。もう一台のミシュランタイヤ装着車であるNo.46 S Road CRAFTSPORTS GT-R(本山 哲/千代勝正)は、レース序盤のバトルの中でアクシデントに見舞われてマシンに大きなダメージを負い、約30分を費やして修復。上位は望みようがなくなってしまいましたが戦列に復帰すると良好なペースで周回を重ねて長距離レースを走り切りました。

 

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大きな節目の一戦となった今大会には、SUPER GTの通常のシリーズ戦には参戦していないふたりの元F1ドライバーが特別に出場。2009年のF1チャンピオンであるジェンソン・バトンはNo.16 ホンダ NSX-GTに、2012年にこの鈴鹿サーキットで開催されたF1日本グランプリで3位表彰台を獲得している小林可夢偉はNo.19 レクサス LC500にそれぞれ乗り込んで登場し注目を集めました。

 

予選日は朝方に強い雨が降り、午前中に行われた公式練習は雨上がりのウェットコンディションで始まりましたが、午後2時55分から開始されたGT500クラスの公式予選は完全なドライコンディションで行われました。Q1(予選第1セッション)開始時の気温は32℃、路面温度は41℃でした。

 

今大会にミシュランが用意したドライコンディション用のスリックタイヤはハード仕様とミディアム仕様の2種類でした。SUPER GTは予選で使用したタイヤで決勝レースをスタートしなければならないレギュレーションであり、そして今大会がタイヤにひときわ過酷な一戦であることから、ミシュラン勢はレースにおける安定的なパフォーマンスを優先。No.23 MOTUL AUTECH GT-R、No.46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rともにハード仕様のタイヤを装着して予選タイムアタックに臨みました。

 

46kgのウェイトハンディで今大会に出場したNo.46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rは千代勝正のアタックによりQ1を3位で突破。進出したQ2(予選第2セッション)は本山 哲が担当し、予選5位・3列目のスターティンググリッドを確保しました。一方、82kgのウェイトハンディを抱えたNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rはさすがに厳しく、Q1を担当した松田次生の懸命なアタックをもってしても12位が精一杯でした。

 

あくる決勝日の鈴鹿サーキットは快晴で、前日の予選日より格段に暑く、決勝レースが開始された12時30分時点で気温は35℃、路面温度は48℃にまで上昇していました。

 

SUPER GTの標準の3倍以上である1000kmのレース距離で争われた今大会ですが、各車両には5回以上のピットストップを行うことが義務付けられていました。1000kmを均等に6つに分けて戦うのがベーシックな戦略でしたが、その場合、1スティントの距離は170km=29周前後となり、SUPER GTの通常の300kmレースにおける1スティントの距離とそれほど変わらないことから、各スティントにおけるドライバーには通常のシリーズ戦と同様の全開走行が終始求められます。それでいて、レース時間は5時間半を超える長丁場であり、路面温度が高く、さらにはタイヤや車両にかかる負荷の高い鈴鹿が舞台という難しい条件が重なっているわけです。

 

今シーズンのSUPER GTシリーズの中でもひときわ過酷な一戦であることは間違いない鈴鹿1000km。その決勝レースは、No.46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rには千代勝正、No.23 MOTUL AUTECH GT-Rにはロニー・クインタレッリがそれぞれ乗り込んで開始されました。

 

両車のペースは良好で、ともに早い段階でひとつずつポジションアップを果たします。特にNo.46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rは積極果敢な走りを展開。15周目には前の2台が競り合う中でスピードが落ちたところを見逃さず、彼らがヘアピンの立ち上がりで並んだところのさらにインを突いていきました。

 

3台のマシンが並走状態となりましたが、ライバルたちは最も内側を走ったNo.46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rに十分なスペースを与えることを許しませんでした。ダートのランオフエリアに車体を落とす格好になったNo.46 GT-Rは車両の姿勢を乱し、クラッシュパッドに接触してリアウイングがもぎ取られることに。同車は修理のためにピットへ向かわざるを得ず、レース序盤にして上位フィニッシュの望みが断たれる事態となってしまいました。

 

一方、No.23 MOTUL AUTECH GT-Rは同じく70〜80kg程度のウェイトハンディを負ったライバルたちを次々に攻略していきました。29周目を終えたところで最初のピットストップを行い、松田次生に交替。第2スティントを戦い始めた時点では5位にまで順位を上げていました。

 

その後、No.23 MOTUL AUTECH GT-Rは三つ巴の4位争いを繰り広げます。その中で他車との軽い接触によってコースを外れる事態があり、ポジションダウンを余儀なくされましたが、その後の走行ペースは相変わらず良好。60周目終了後には2回目のピットストップを行いました。そして、アクシデントによって上位から後退した車両が出たことなどもあって、クインタレッリが再び乗り込んでいたNo.23 GT-Rは4位を走行することに。さらに、64周目には小林可夢偉の駆るNo.19 レクサス LC500をシケインでかわして3位に浮上していきました。

 

89周目を終えたところでNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rは3回目のピットストップを実施しました。このとき、ピットアウト時のNo.23 GT-Rがピットに入ろうとしていたGT300車両の進路を塞ぐ格好になったことから、No.23 GT-Rにはドライブスルーペナルティが課せられることになってしまいました。しかも、108周目終了時に行われたペナルティの消化は、セーフティカーランを終えた直後で各車間のギャップが最も縮まった状況下であったことから、No.23 GT-Rは大きくポジションを落としてスタート位置と同じ12位にまで後退してしまうことになりました。

 

しかし、チームもドライバーもここで諦めることはありませんでした。ペナルティ消化後の4周のうちに松田がドライブするNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rは4つもポジションを取り戻して8位に浮上。そこから松田はチームの指示どおりに、ペースを大きく落とすことなく燃料をセーブするという非常に神経を使うドライビングに努めました。そして120周目終了後には4回目のピットストップを行い、第5スティントではクインタレッリが松田同様の省燃費走行を展開。その中でも、同じくウェイトの重いライバルたちとの勝負に競り勝ちながら5位にまでポジションを上げていきました。高い路面温度のもとでもパフォーマンスを落とさないミシュランタイヤの高性能を存分に生かしたドライビングでした。

 

そして144周目を終えたところでNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rは最後のピットストップを実施。省燃費走行に努めてきたことによって給油時間を短縮し、NISMOのピットワークの速さも手伝ってピットストップ時間を短くまとめたNo.23 GT-Rは、ひとつポジションを上げて4位で最後の第6スティントを戦い始めました。

 

No.23 MOTUL AUTECH GT-Rはスタートからずっとハード仕様のタイヤを使ってきていましたが、夕方の時間帯になって路面温度が下がってきていたことから、同車はここで初めてミディアム仕様を投入しました。そして、タイヤがまだ温まっていない状態のアウトラップ(ピットアウト直後の周回)において松田が素晴らしいドライビングを見せ、十分に温まったタイヤを履く後続のライバル車両のチャージを抑え切ってポジションを譲りませんでした。やがてNo.23 GT-Rのタイヤが温まると同車のペースに後続車両たちは追従できず。そしてNo.23 GT-Rは、アウトラップの翌周にはNo.1 レクサス LC500をオーバーテイク。その前を走行していたNo.17 ホンダ NSX-GTが同じ周回にアクシデントに見舞われたことにも後押しされ、ついに2位へと進出しました。

 

この時点で、トップを行くNo.64 ホンダ NSX-GTはNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rの約18秒先を走っていました。すでに約5時間にわたって40台以上の車両が周回を重ねてきたコースは、走行ラインの外側にはタイヤかすが散らばり、GT300車両を追い越す際にもできるだけ路面がきれいなところを選ばなければならないといった難しさがありましたが、それでもNo.23 GT-Rの松田はミディアム仕様のミシュランレーシングスリックのパフォーマンスを生かしてプッシュを続け、ウェイトハンディが76kgも軽いNo.64 ホンダににじり寄っていきました。そしてギャップを約12秒にまで縮めたところでフィニッシュ。トップ5のうち4台までが20kg台以下のウェイトハンディの車両であった中、82kgのハンディを抱えて戦ったNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rが殊勲の2位入賞を果たしました。

 

前戦の富士に続いての2位表彰台の獲得により、No.23 MOTUL AUTECH GT-Rの松田次生/ロニー・クインタレッリのコンビとNISMOチームは、シリーズも残り2戦となった段階でドライバーランキングとチームランキングの双方において首位に浮上することに。また、ミシュランタイヤ装着車による日産 GT-R NISMO GT500勢のベストリザルト獲得の記録はこれで開幕戦から6戦連続となりました。

 

一方、レース序盤にしてアクシデントに見舞われたNo.46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rは、約30分を費やしてリアウイング等の修復を行い、16周遅れとなりながらも戦列に復帰。その後は良好なペースで走り続け、14位での完走を果たしました。

日本ミシュランタイヤ モータースポーツマネージャー 小田島広明のコメント

「今大会に我々ミシュランは、ドライコンディション用のスリックタイヤにはハード仕様とミディアム仕様の2種類を用意しましたが、23号車(No.23 MOTUL AUTECH GT-R)と46号車(No.46 S Road CRAFTSPORTS GT-R)はともに、予選と決勝レースの大半でハード仕様を使いました。レースでの安定性を最も重要視してのタイヤ選択でしたが、間違いはなかったと思います。

 

そして、路面温度やタイヤの状況から、23号車には最後のスティント(第6スティント)で初めてミディアム仕様を投入したのですが、レース序盤のアクシデントによって残念ながら勝機がすでに失われてしまっていた46号車にひと足早く(第5スティントにおいて)ミディアムを入れており、その結果を踏まえての23号車の第6スティントへのミディアムの投入でした。

 

23号車がドライブスルーペナルティを受けたことは残念でしたが、そのペナルティが消化されたタイミングが非常に悪く作用してしまいました。しかし、そこからチームとドライバーが、ピットストップのタイミングや作業スピード、そして燃料をセーブしながらも良好なペースを保つドライビングでそれぞれ頑張ってくれて、最後のスティントで勝負権を得ることができました。

 

また、最後のスティントに出ていった松田選手のアウトラップの速さが光っていました。すでにタイヤが温まっていたライバルたちを抑え込んでみせたあの周回のドライビングは本当に素晴らしいものでした。

 

23号車の2位により、我々のタイヤを使用する車両が今回もGT-R勢の最上位となりました。それを達成することが我々の今年のSUPER GTにおけるコミットメントですが、それを今回も果たすことができました。なおかつ、23号車がここでシリーズランキングのトップに立ったのは、我々にとっても非常に励みになることとしてうれしく思っています」