■予選:6月30日/決勝:7月1日
■開催地:チャン・インターナショナル・サーキット(タイ)
■レース距離:300km(66周×4.554km)

今シーズン唯一の海外ラウンドは
ミシュラン勢試練の一戦に

今シーズンのSUPER GTにおいて唯一の日本国外開催ラウンドがタイ王国のチャン・インターナショナル・サーキットで行われました。GT500クラスに参戦するミシュランタイヤ装着車2台はそろってタイヤ無交換で決勝レースを戦う作戦を採りました。一時的に2台は上位に進出しましたが、しかしレースが進むにつれてペースダウンを避けられない状態となり、No.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)は12位、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(本山 哲/千代勝正)は13位に終わりました。

 

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SUPER GTのシリーズ戦がタイで初めて行われたのは2014年のことで、今回で5回目(5年目)の開催でした。舞台となるチャン・インターナショナル・サーキットは1周が4.554kmのコースで、今年10月には同国で初となるMotoGP世界選手権レースが開催されます。

 

今大会にNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rの松田次生/ロニー・クインタレッリのコンビはドライバーランキング2位につけた状態で出場しました。前戦終了時点での獲得ポイントは31ポイントで、今大会におけるウェイトハンディは62kg。実際には、35kgのウェイト(重り)を実装し、さらに燃料流量リストリクターによってエンジンが使うことができる燃料の量が1ランク絞られてパワーに抑制をかけられた状態でした。一方、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rの本山 哲/千代勝正のコンビは、前戦を終えたところでランキング11位、獲得ポイントは9ポイントで、今大会には18kgのウェイトを搭載して臨みました。

 

6月30日に行われた予選は、セッションの直前に降ったスコールの影響を強く受けるものとなりました。スコール自体はすぐに止んだものの、当初の予定より開始時間を15分後ろ倒しにして始まったGT300クラスのQ1(予選第1セッション)は完全なウェットコンディションでの実施に。しかし、そのセッションのうちにレーシングライン上の水は掃けていき、続くGT500クラスのQ1はタイヤ選択の判断が実に難しい状況のもとで行われました。

 

このGT500クラスのQ1でNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rのタイムアタックを担当したのは本山でした。彼が乗り込んだNo.3 GT-Rは、当初履いたレインタイヤで良好なバランスを見せたことから、本山はそのまま3周の計測周回をこなしました。しかし、路面が乾いていくにつれてスリックタイヤの優位性が動かし難いものとなり、No.3 GT-Rもピットに入ってスリックにスイッチします。その後、本山はタイヤに熱を入れる操作を懸命に行いながら周回し、そしてセッションの残り時間もわずかとなったところでアタック。しかし、Q2(予選第2セッション)進出には一歩及ばぬ9位のタイムをマークするにとどまりました。

 

松田がQ1を担当したNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rは、やはり最初はレインタイヤを履いてコースインしましたが、1周してきたところでピットに戻り、出走全車の中では最も早いタイミングでスリックタイヤに換装しました。そして松田は、滑りやすい路面コンディションの中で慎重にタイヤに熱を入れていき、セッションの残り時間もわずかとなったところでアタックに出ます。ところが、その周回でペースの遅い車両にタイミング悪く引っかかってしまう不運があり、予選15位という不本意な結果に終わりました。

 

明くる7月1日の決勝日は雨の気配がなく、タイらしい暑さに終日恵まれた一日となりました。

 

前日の予選Q1にミディアムタイヤを使用したNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rと、同じくハードタイヤを使用したNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rは、レギュレーションに基づいて同じタイヤを履いて決勝レースをスタートしました。前半スティントを担当したドライバーは、No.3 GT-Rは本山、No.23 GT-Rはクインタレッリでした。

 

今大会に臨むにあたってミシュランとGT500クラスの各パートナーチームは、ピットストップにおけるロスタイムを最小化するためにタイヤ無交換作戦を採ることを当初から検討していました。そして、前日の予選を終えたところで、その作戦を実行に移す決断を下していました。したがって、前半スティントを担当したNo.3 GT-Rの本山とNo.23 GT-Rのクインタレッリのふたりは、ライバルとのバトルを演じながら後半スティントにもタイヤのパフォーマンスを残す慎重なドライビングが求められました。あまりプッシュすることができないため上位に進出することは難しく、前半スティントにおける2台のミシュランタイヤ装着GT-Rは12位〜13位というポジションを走り続けました。

 

そして、66周のレースも折り返しが迫った32周目終了時にNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rがピットストップを実施し、本山から千代に交替。その2周後にはNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rもピットに入り、クインタレッリから松田に替わります。No.3 GT-Rを走らせるNDDP RACING with B-MAXチームとNo.23 GT-RのNISMOチームは、それぞれ素晴らしいピットワークを見せ、最短の停車時間でそれぞれのマシンを戦列に復帰させました。その結果、GT500クラスの全車がルーティンのピットストップを終えた時点で、No.3 GT-Rは5位、No.23 GT-Rは6位にまでポジションを上げていました。

 

タイヤ無交換作戦によって狙いどおりのポジションアップを果たしたミシュラン陣営でしたが、後半スティントの戦いはタフなものでした。レーススタート時で48℃、フィニッシュ時で44℃という高さの路面温度のもと、タイヤの摩耗が想定よりも早く進み、周回遅れのGT300車両をかわしていくのにも通常のレース以上に苦労する状況に。No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-RとNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rは徐々にポジションを落としていくことになりました。

 

そうした苦しい状況は、No.23 MOTUL AUTECH GT-Rとほぼ同じウェイトハンディで今大会に出場したポイントリーダーのNo.100 ホンダ NSX-GTも同じでした。そして最終的には、No.100 ホンダが11位、No.23 MOTUL AUTECH GT-Rが12位、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rが13位でそれぞれフィニッシュする結果となりました。

 

なお、今大会にはGT300クラスに地元タイのAASモータースポーツからNo.32 ベントレー・コンチネンタル GT3がミシュランタイヤを使用してスポット参戦しました。フランス人ドライバーのマクシム・ジュースとタイ人ドライバーのガンタティー・グシリのコンビが駆った同車は、ウェットコンディションでのQ1を見事突破してQ2に進出し、予選10位を獲得。決勝レースではドライブスルーペナルティを受けたことで順位を落としてクラス14位でのフィニッシュとなりましたが、レース序盤はトップ6に入る位置を走り続け、スポット参戦にもかかわらず高い競争力を示しました。

日本ミシュランタイヤ モータースポーツマネージャー 小田島広明のコメント

小田島広明
小田島広明

「今回のレースに我々ミシュランが持ち込んだGT500用のスリックタイヤは、ハード、ミディアムハード、ミディアムの3種類でした。レースではタイヤ無交換作戦を採りましたが、それはこのレースウィークを迎える前から考えていたことでした。実際には、タイヤの消耗が我々の見込みを上回るレベルで進んだために、我々が期待していたような結果は手に入れられませんでした。しかし、我々のタイヤ開発という見地からすると、今回も有意義なデータを得ることができたレースとなりました。
 また、今大会にはGT300クラスに我々のタイヤを履いた車両がワイルドカードで出場しましたが、ウェットとドライのどちらのコンディションにおいても優れたパフォーマンスを見せてくれました。レースにおいてペナルティが課せられてしまったのは残念でしたが、タイヤサプライヤーである我々としては、チームが見せてくれたパフォーマンスに満足しています」